みんなの憧れの山、槍ヶ岳。
当ブログ管理人、tomoにとってもそれは同じ!!
2019年8月、その憧れの山へテント泊2泊3日で登頂してきました。
はじめての槍ヶ岳を、バリエーションルートの北鎌尾根から登頂できたのも、
山岳会での山行であり北鎌尾根の経験豊富な師匠と信頼できる山仲間との山行であったからに他なりません!!
近年、槍ヶ岳、北鎌尾根登攀中の遭難事故が多発しております。
私自身の振り返りのため、そしてこのブログを見てくださった方の山行が少しでも安全のためにお役立ちいただけますよう記事にしました。
北鎌のコル~槍ヶ岳登頂までのポイントが知りたい方はこちらの記事を読んでね↓
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槍ヶ岳とは
槍ヶ岳
- 標高:3180m
- 国内第5位の高峰
- 先鋭的な山容でどこから見ても、それとわかる。
- 山頂からは四方に尾根が伸びている。
- 山頂からは遮るものがない大パノラマが広がる。
- ルートは複数あるが、どれも距離が長く日数が必要。
- 十分な計画と体力が必要な中級者以上の山
槍ヶ岳の主要ルートは4つ
①槍沢ルート…上高地から梓川沿い、そして槍沢をたどり山頂を目指す定番のルート。
②表銀座ルート…燕岳から大天井岳、西岳、槍ヶ岳へと連なる稜線歩きのルート。
③裏銀座ルート…烏帽子岳から野口五郎岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳、槍ヶ岳への長大な稜線歩きのルート。健脚向き。
④大キレットルート…北穂高岳と南岳の間に伸びる稜線、大キレットを越え槍ヶ岳へと至るルート。クライミングの基本テクニックが必要。
北鎌尾根とは
テレビ番組「実践!にっぽん百名山」のレギュラー解説者としておなじみ、萩原浩司(はぎはらひろし)さんが、著書「山塾」の中で、「日本三大岩稜」の一つとして位置付けています。
日本3大岩稜
①槍ヶ岳北鎌尾根
②前穂高北尾根
③剱岳八ツ峰主稜
山塾
クライミング入門者のためのクラシックルート
バリエーションルートに必要な技術
北鎌尾根が日本でも代表的なバリエーションルートであることがわかりました。
では、バリエーションルートは一般登山道と違い、どんな技術が必要なのでしょうか?
バリエーションルートに必要な技術
- 現場でのルートファインディング
- 長時間行動・持久力
- クライミング技術・確保技術
- 情報収集力
まず現場でのルートファインディングが必要です。
地図とコンパスを使い(今はGPSなどの電子機器も)、進むべき方角を知るだけでなく、危険な箇所や困難な箇所を通過する際、危険はできるだけ避け、困難も自分の能力で対処できる範囲の、合理的なルートどりを探し出さなければなりません。
また、行動時間が一般道に比べ長いだけでなく、食料や水分補給計画においても、効果的かつ計画的に行わなければなりません。
そしてバリエーションルートでは、もろい岩場や支点がなく確保条件が悪い箇所を登攀することもあります。クライミング技術、確保技術が必要となります。
これらの技術と共に、ルート内容の把握、必要な装備や技術の把握、天候を含めたコンディションをつかむことも、重要な能力と言えます。
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遭難が多発しています
今年も北アルプスの夏山ではたくさんの遭難事故が発生しています。
島崎三歩の「山岳通信」として、長野県の山岳安全対策課から令和元年9月9日に配信された内容はコチラです。
↓↓↓
重要8 月 5 週は、8 件の遭難が発生しました。26 日に発生した単独登山者の北鎌尾根における道迷い遭難は、当初から尾根に登り詰める沢を間違え、途中で間違いに気がついたものの、ロープ等の装備がないために、急斜面を降りることも進むこともできなくなり行動不能となったものです。北鎌尾根は有名な山岳小説の舞台となったこともあり、バリエーションコースとして人気がありますが、近年は実力不足の登山者による遭難が後を絶ちません。今年の夏山期間中も 4 件の遭難が発生しており、そのうち 2 件は行動中の疲労によるものでした。
北鎌尾根はアプローチを含め標高差も大きい長大なルートです。また、複雑な岩稜帯を進むため、いったん、尾根を登り始めたら途中で引き返したり、脱出することは非常に困難です。技術、体力、経験が揃っていることはもちろん、それに加えて気象条件が揃っていなければ無謀な挑戦になってしまいます。高みや困難を目指すことは登山の醍醐味の一つですが、着実なステップアップを心がけてください。参考引用文献:長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
必要装備
ザック
今後もザイルを背負っての日帰り山行で使用することを考慮し、今回のために新規購入。
岩稜帯でのスムーズな行動のためには軽量かつコンパクトに収めることが望ましい。
師匠
必要最小限かつ軽量化すること
靴
長距離かつテント泊装備なため、しっかりした登山靴と言いたいところですが、クライミング要素のある岩稜帯歩きがあるため、岩場歩きを最優先し今回もアプローチシューズを選択。(写真はtomo使用とは色違い)
ヘルメット
岩稜帯歩きの必携品。
注意ポイント
私もやりがちなのですが💦ザックの外でヘルメットやその他コッヘルやスリーピングマットなどを外付けするのは、木や岩場などで引っかけ転倒など重大な事故につながる危険性があるため、ザックの中へ収納するのがベストです。どうしても収納できない場合はヘルメットホルダーの使用も検討しよう
ロープ
ポイント
登攀用具は今回は一度も使用することなく山行を終えましたが、1グループ1本は万が一のための必携品です。また、独標基部からトラバースせず、直登する場合はクライミング装備必携です。
各種、登攀道具・テント泊道具
参考
tomoは本気の?!クライミング用と、万が一の時のため用に準備して持って行く超軽量タイプのハーネスとの2種類を持っています。山行により使い分けています。
万が一に備えた確保技術と装備が必携です。
他、今回、私たちはテント泊だったのでテント泊に必要な装備を含めます。
水の確保のために最低一人4リットルは持ったため、2リットルの水入れ2本は最低限、各自持って行きました。(他、サーモスやペットボトルなどでも水分を持っていました。)
山行概要
山行概要
- 期間:2019年8月9日~12日(9日は沢渡にて前夜泊)行程は2泊3日
- 山域:槍ヶ岳・北鎌尾根
- 参加者:(リーダー)師匠・(サブリーダー)Kさん・(会計・記録)tomoの計3名
1日目
沢渡~上高地~横尾~大曲~水俣乗越~天上沢出合~北鎌沢出合(テント泊)
2日目
北鎌沢出合(テント場)~北鎌のコル~天狗の腰掛~独標基部~独標~p12~p15~北鎌平(テント泊)
3日目
北鎌平(テント場)~槍ヶ岳頂上~槍ヶ岳山荘~槍沢ロッジ~横尾~上高地~沢渡
1日目
前夜に沢渡近くでテントで仮眠をとった私たち。
上高地には沢渡から乗り合いタクシー(4000円でした)で、朝5時半ごろに到着。
師匠が予め作成の山岳会の計画書(登山届け)を提出したら、いざ出発です。
ここでも、師匠のお弟子さん?!に遭遇。
この日は滝谷へ行くのだとか!(私もいつか行ってみたいデス)
いつも山行の途中に師匠の知り合いに偶然、出会うことが珍しくありません。
トイレ待ちをしている間に、西穂高岳のガスもすっきり晴れてきました。
上高地から横尾までは参考コースタイムは3時間10分。
しばらく平坦な道のりのハイキングコースです。
昨年、同時期に登攀した明神岳。
もう一度登ってみたい山の一つです。
ここでビデオのバッテリーのような物を拾い、明神館に落とし物として届けました。
上記写真の小さなトイレは、最高にキレイなトイレです。
長い梓川沿いのルート、お次は横尾に向け歩きだしました。
途中、師匠から見える景色や、面白いルート、以前の山行の時のエピソードなど色々お話をしながら歩きました。
やっと横尾に到着です。
ここまで3時間弱。まあまあ良いペースで歩けています。
しばし大休憩。
たくさんの人で賑わっていました。
この大橋を渡ると涸沢へのルート。
私たちは橋を渡らずまっすぐに進みますよ。
上記写真は槍見平というポイントから撮った槍ヶ岳です。
木が生い茂ってしまったため槍ヶ岳の先がかすかに見える程度。
見過ごして通り過ぎてしまいがちですが、ちょっとした休憩ポイントになっています。
この辺りになると、槍ヶ岳から下山してくる登山者とすれ違うようになってきました。
徐々に気温も上がり暑さがこたえます。
傾斜が出てきたことで、荷物の重さがズシッとこたえるようになってきたころ、槍沢ロッヂに到着しました。
ロッジにはたくさんの登山者で賑わっています。
タイミングが良いことに、木のベンチに座ることができました。
Kさんが自宅で凍らせて持ってきてくださった冷凍ミカンが、冷たく甘酸っぱく中からクールダウンできるようで美味しかったです。
私たちは利用していませんが、槍沢ロッジにはお風呂があるそうですよ。
槍沢ロッジから40分ほどでババ平へ到着です。
ここは最後の水道からの給水箇所。
最後のトイレがあるポイントになります。
暑さで疲労がたまってきました。
すぐに日陰を探し休憩です。
この時の最高気温は33~34度。
動きだしたくないぐらい暑かったですが、まだまだ先は長いので進みます。
大曲りに到着しました。
再び、日陰を探し大休憩です。
ここで槍ヶ岳への一般的なルート、槍沢ルートに行く道と、北鎌尾根への道の分岐となります。
しかも年齢層は20代~40代と思われる、若い層が多いよう感じました。
メモ
北鎌尾根へと向かう登山者が多いということは…。
北鎌尾根ルートの初日は北鎌沢出合でテント泊する人がほとんどです。
つまり、早く北鎌沢出合に到着しないと登山者が多い分、良いテント場もなくなってしまうということです。
ここで師匠がそれを心配していましたが…暑さと疲労で思うように身体は動かずスピードアップは図れませんでした。
休憩が多すぎないかな?
とちょっと心配なるぐらいですが、私たちはこまめに休憩をとりました。
師匠もKさんも、暑さと急登でヘロヘロです。
ババ平で最後の給水をし、飲んだ分軽くなった水入れにも満杯に満たしたおかげで、再び重い重い荷物を背負っています。
水俣乗越までの急登の途中、私たちと同じように、ヘロヘロになっている男性の登山者一人とすれ違いました。
この男性、登山道の脇で座り休んでいると少し先の方にお連れの女性が一人いて声を掛け合い何か話している様子。
途中、女性が私たちに先に行くよう道を譲ってくれましたが…。
後で私たちはその女性、一人に抜かされました。
アレ?お連れの男性はどうしたのかな?
気になっていると、再び女性はルートの先から空身で戻ってきました。
なんとその女性、自分はいったん水俣乗越まであがり荷物をデポし、再び男性のもとへ下山。
そして男性のザックを女性が背負い、先へ進むということでした。
ようやく水俣乗越に到着しました。
計画より1時間半は遅れています。
しばし言葉少なに大休憩となりました。
水俣乗越で休憩していると、さきほどの男性と女性が登ってきました。
なんとか男性も自力で歩きここまでくることができたようです。
再び、お二人に出会え思ったよりは体調も大丈夫そうだったため安堵しました。
74歳の師匠と、59歳のKさんよりも、ちょっとだけ体力的に余裕のある私。
お二人の座っている場所の目の前に、激下りのルートが続いています。
無言で休憩中も、先行者の「ラックー」の叫び声が何度も何度も聞こえてきます。
私が不安に感じ始めたのを察してのこと?
師匠から、ゲキ下りなので気を引き締めて慎重に進むこと。
落石を落とさないよう、細心の注意を払うこと。
この場所から数メートルだけ降りた場所から、右へトラバースする箇所があり、樹林帯の中へ入ればゲキ下りに変わりはないが、まだ降り易くはなるので安心するよう説明がありました。
師匠の説明のとおり、すぐに樹林帯へ入りそこからは、ゲキ下りにかわりはありませんが、木の枝など手で把持できるようになったことでバランスがとりやすくなり転倒や落石を落とさず進むことができました。
ただ、このゲキ下り、ゲキ!!過ぎて、写真など撮る余裕が全くありませんでした。
ゲキ下りを終え、やっと雪渓まで降りてきた安心感もつかの間…。
前方に見える尾根の右端の大きな窪みが、翌日、最初に目指す北鎌のコルだと教えて頂きました。
そして、これから目指す1日目のテント場である北鎌沢出合はそのコルの麓あたりということになります。
長い長い雪渓歩き。
長い長い河原歩き。
すでに水俣乗越の時点で計画よりかなりの遅れをきたしていることも不安要素でした。
疲労と、不安で、精神的に追い詰められていく自分がわかります。
近くを歩いている別のグループの若い女性と少し話をしました。
彼女は歩行ペースが遅いため、その彼女に付き添い二人の同行者が一緒に歩いているようでした。
他の数名のメンバーは先に行き、テント場で場所を取り、テントを先に張ってくれているとのことでした。
暑さと疲労がピークに達しています。
あと、どれくらいでテント場に着けるのだろう?
スマホの地図で現在地を確認しようかなと思い始めた頃、やっと川の本流と合流する地点に到着しました。
師匠から、あと30分でテント場に着くと聞いた時の嬉しかったこと!!
ほっとした私は少し緊張感がほぐれました。
沢の水は冷たく、バンダナを水に浸し首に巻いてみると、ひんやり心地よくリフレッシュできました。
本日のテント場に到着しました。
だいぶ計画から遅れていますが、明るいうちに到着したことで気持ち的な安心感が得られたのが大きかったです。
想像していたとおり、北鎌尾根ルートにかなりの登山者が入山しています。
師匠が知っている、テントを張るにはうってつけの良いスペースはどれもこれも先着者がテントを張っています。
結局、私たちは随分と下流の方まで良いスペースがないか探し歩きました。
注意ポイント
河原でテントを張る時は、絶対に中洲には張らない事。天候の変化、急な増水でテントごと流されてしまう危険あり!
陽が落ちる前にテントを張り終え、夕食まで済ませることができました。
1日目の総歩行距離は上高地から北鎌沢出合まで22kmでした。
翌日は3時起き、4時出発です。
疲れのため、星空を見ることも忘れコテッと眠りに着きました。
2日目へと続く…