鈴鹿山系の最高峰「御池岳」で2021年5月ハイキングを楽しんできました。
この季節の御池岳のおすすめは、なんといっても花!春~初夏の山野草を愛でることができました。
そしてもう一つのお楽しみは、野生のリスです。ここ御池岳では高確率で出会うことができます。
珍しいお花や、気になるヒル情報も。
御池岳は日帰りで季節の花や、特徴的な地形、眺望など見どころいっぱいの楽しめるお山です。
しかし、遭難が多いことも事実。遭難しやすい箇所や気を付けるポイントなどご紹介しています。
御池岳への登山、ハイキングの参考にしてくださいね。
御池岳(おいけだけ)
御池岳とは
鈴鹿10座(御池岳、藤原岳、竜ヶ岳、釈迦ケ岳、御在所岳、雨乞岳、イブネ、銚子ケ口、日本コバ、天狗堂)のうちの一つです。
滋賀県東近江市の鈴鹿国定公園内にある標高1247mの山で、鈴鹿山系の最高峰です。
石灰岩山地特有のカルストの頂上台地が広がっており、この台地にはいくつもの小さな池が点在しているため、御池岳という山名の由来になっています。
山頂の西端にボタンブチや天狗の鼻と呼ばれる崖の上の展望地があります。
天気が良ければ御在所岳などの鈴鹿山系のほとんどの山が望めます。
ルート
今回、私の通ったルートは
鞍掛トンネル東登山口ー鞍掛峠-鈴北岳ー日本庭園ー真の池ー鈴北岳分岐ー御池岳
御池岳-御池岳・鈴北岳分岐ー幻の池ーカタクリ峠ー長命水ーコグルミ谷・タテ谷分岐ーコグルミ谷登山口~(車道歩き)鞍掛トンネル東登山口
初心者さんにおすすめ
御池岳登山口ーコグルミ谷(タテ谷分岐ーカタクリ峠ー丸山分岐ー御池岳山頂(帰りは来た道を戻る=ピストン)
マイカー登山は駐車場に要注意
今回のコース設定では鞍掛トンネル東登山口の駐車場(20台程度)を利用しています。
国道306号にはトンネル付近とコグルミ谷出合周辺に駐車できるスペースが数か所あります。
トンネル西口(滋賀県側)にも数台、駐車可能な駐車場はあります。この場合、鞍掛峠で登山ルートは合流します。
ヤマップやヤマレコなど、SNSで直近の駐車場の情報を調べて行く事をおすすめしますよ。
ちなみに、私がこの日に駐車場に到着した時刻は朝6時過ぎ。
鞍掛トンネル東口の広い駐車場はラスト1台の状態でした。次々に後続の車がやってきて、少し下の段の駐車場に停めていました。
下山し戻ってきた昼頃にはカーブの路肩に路上駐車もいました。
鈴北岳~御池岳山頂
トンネル東登山口の駐車場から小さな小川の橋を渡り、まずは道なり、つづら折りの急登を登ります。
鞍掛峠までにきっと一汗かくイメージです。
鞍掛峠の分岐にはお地蔵様がまつられていますよ。
鞍掛峠から鈴北岳までもひたすら登り。
途中、鉄塔があったり、途中、上部に差し掛かると天気が良ければ右手遠方に琵琶湖も見られます。
季節と天気が良ければ、カタクリが多く咲く登山道ですが、この日はあいにくの天気でカタクリはみんな下を向いていました。
特徴的な景色
ガスガス…風景というより、足元に目が行きます。
鈴北岳の山頂にちかづくほどガスと風が強まってきた。
下をばかり見て歩いていると、ふと良い香りが。
顔を上げ良い香りの主を探すと、登山道わきにオオカメノキ(ムシカリ)の花が咲いていました。
葉っぱの形が亀の甲羅に似ているからオオカメノキというそうです。
ドリーネ
鈴北岳の山上台地にはカルスト地形(石灰岩の地形・代表的なのは山口県の秋吉台・福岡県の平尾台など)特有のドリーネがあります。
ドリーネとは石灰岩台地の地表に生ずるすり鉢状のくぼ地のことです。
こうした石灰岩山地特有の地形は鈴鹿山系北部地域の山、例えば霊仙山や藤原岳などに共通した地形です。また石灰岩の山地は花が楽しめる山が多いです。
花を愛でたいところですが、ガスで陽光が乏しくしっかり花が開いていないので、キレイに咲いている花は限られてきます。
鈴北岳の山上はガスガスだったため、道を間違えないよう歩みを進めました。
真の池を通りすぎ、日本庭園へ。
ここまでくると御池岳の山頂が近いよ。
お天気さえ良ければ、ニリンソウが登山道を華やかに飾るメルヘンチックなルートです。
女性には喜ばれそうですね。
さあ!山頂に到着です
ここは鈴鹿山脈の最高峰になります。
御池岳の山頂は樹林の中で眺望がないため天気が良ければボタンブチや天狗の鼻方面へ足をのばし、絶景を眺めながらお昼休憩をするのも良いですね。
この日は天気がパットせず、山上のガスが晴れるのも待つには時間がかかりそうです。
ボタンブチ方面へ行っても、眺望が望めそうにもありませんので、このままくだりコグルミ谷へと向かうことにしました。
低山だからとあなどることなかれ!遭難に注意
私の中で御池岳、鈴北岳は鈴鹿山系の中でも遭難の多い山域というイメージがあります。
御池岳での遭難と言えばヤマレコのユーザーネームyucon氏が有名です。
この方の遭難についてはヤマレコの記録やブログ記事、アウトドア雑誌での記事など様々な場所で取り上げられているため有名です。
私が実際に、遭難した家族の方から山行中の目撃情報がないか尋ねられたのも数年前の御池岳での山行がはじめてでした。
本当にあった話
SNSを通し、ご家族の方から連絡が着た時は、他人ではありながらも同じ登山者として、絶対に早くみつかってほしいと願わずにはいられませんでした。しかし、自分の記憶をどうたどっても残念ながら山行途中にすれ違いはしていません。有力な情報提供もできず、後日、この方がルートから滑落していたのでしょう。谷で遺体で見つかったことを知った時は本当にショックでした。
山での事故は転倒や滑落だけではありません。
道迷い、も多いのですよね。
自分自身の経験からも、霊仙山のカルスト台地の似たような地形が続く中で、前も後ろも同じような景色に方向感覚を失うような恐怖を感じたことがあります。
記事の上部でも書きかましたが、山上が台地地形になっている場合、天候によってはホワイトアウトやガスで視界が効かない場合、方向感覚を失ってしまうことが多いです。
山頂の標識や、道標が大きくわかりやすいとは限りません。
こんな場所では必ずこまめに地図、方位磁針、スマホ、GPSなどで現在位置、進行方向を確認しながら進むようにしましょう。
シマリスに会えるコグルミ谷周辺
小さな沢沿いに登山道がのびています。
いつもならリスはコグルミ谷いるのが通説ですが
同じようにリスを探している登山者と沢山すれ違いますが、「いたよ」とすぐ教えてくださる登山者さんはいない様子。
コグルミ谷で、リスを待ちながらのんびり休憩をされている登山者さんグループもいました。
途中に出会った別の登山者さんから「もっと下の方でリスを見たよ!」と教えていただきました。
コグルミ谷ですぐにみつかりそうな雰囲気はなかったので、そのまま歩みをすすめると…
一瞬、ねずみ?と間違えてしまいがちな、背中に縞模様のあるシマリス2匹が谷を走りまわっていました。
リスは意外と個体の大きさが大きく感じました。
きっとその可愛らしい見た目からは想像できないような、筋肉質なんだろうな。
リスさん、じっとしていてね!
大急ぎでなんとか写真におさめることができました。
こんな沢沿いを2匹は仲良く走り回っていましたよ。
知っておきたいリスのこと
実はこのリス。日本の在来種ではないのです。日本の在来種は北海道のエゾシマリスと本州のニホンリスだけ。
この御池岳に住むリスは外来種のチョウセンシマリスです。つまり、海外からペットとして輸入されたものがなんらかの理由でこの地域に定着してしまい繁殖したようです。
外来種が不用意に繁殖してしまうとどうなるのか?そこに本来ある生態系になんらかの影響を与えることは簡単に想像できます。
「かわいい!」だけじゃなく、そこに至る背景や今後のことに想像力を働かせ節度ある登山者でありたいですね。
参考:侵入生物データベース
登山道に咲く花を愛でる
この時期の御池岳ではニリンソウがいたるところで咲いています。
しかし天気が悪いと花がしっかり開いていません。
コグルミ谷から山頂までの沢沿いではたくさん見られますよ
パッと目をひくのがこのあざやかなピンク色。
コイワカガミです。
小さいので、地面を皿のように?しっかり見ていると咲いているのを見つけられると思います。
カタクリの花はすでに終盤。
ギリギリきれいに咲いているカタクリが見られて嬉しかったです
花の名前で難しいのが、この黄色系
多分、ヤマブキソウだと思います
花のついている場所が葉の影になっているのがおもしろいですね
花ではありませんが、ツチグリも山行途中でみつけるとなぜかラッキーな気がする植物の一つです。
真ん中の丸い部分を木の枝などで押すと、中からプシューと粉が出てきますよ
ニリンソウの小ささに比べ、これは明らかに花の大きさが倍くらいあるのでわかりやすいです。
イチリンソウも例年、決まった同じ場所で見かけるので一度、咲いている場所を覚えてしまうよ探す手間がはぶけますね
珍しい花クマガイソウ
このクマガイソウを目的に御池岳へ訪れるハイカーも多いです。
私もその一人。
実はリスより、こっちの方が最大の目的だったりします。
しかしこのお花…
この容姿は「かわいい」とはいいがたいですが…
なかなかお目にかかれない珍しいお花です。
※絶滅危惧Ⅱ類(環境省レッドリスト)
山歴が長くなってくると、またお花に興味があるとしばしばこういった珍しいお花にお目にかかれることがあります。
もしかしたら、自分が知らないだけで、そこに咲いている小さな珍しいお花(特に野生のランなど)を見逃しているかもしれませんよ
ヒルにご用心
写真にあいつがいるのがわかりますか?
そう、ついにきてしまいました!
そう、ヒルの季節が。
確かに前日まで雨でした。
そしてこの山行当日も、薄曇り、標高がさがるにつれ蒸し暑い
条件がそろいすぎている…( ;∀;)
大きな声で言いますが、御池岳には5月からヒルが出没します
残念ながら、これは本当のことです。
さて、下山前に少し座って休憩しましょうか…と沢沿いの岩場に腰かけた時、あいつが足元に(;´Д`)
石灰岩の山地にはヒルが多いので、御池岳も、もれなくヒルがいます。
私は山行時、特に鈴鹿山系の山を歩く時は常にこのハッカ油を持ち歩いているので大急ぎで靴やザック、足元にスプレーをしまくりました。
そして、このヒルの個体にも試しにシュッとハッカ油のスプレーをひとふきかけてみましたところ…
ちぢんで一瞬だけ小さくなったかのように見えました。
やっつけた?
と、思いましたが…しばらくするとまた動き出したためヒルを殺傷する力はハッカ油にはないかもしれません。
まとめ(5月に御池岳登山をおすすめする理由)
御池岳は5月がおすすめ
- 残雪期を過ぎ雪の心配が低い
- 春の花など季節の植物が多い(珍しいお花にも遭遇できるかも?!)
- 比較的ヒルの出没する確率が低い(でも条件により5月からも出没します)
- 寒すぎず暑すぎず登りやすい気候
- リスなど野生の動物に会えるかも
- オンシーズンなため登山者も多く安心感がある
下山後におすすめカフェ・ランチ
ドイツパン専門店
住所:三重県いなべ市藤原町下野尻946-3
℡:0594-37-5301
営業時間:11:00~17:00
※木曜日~土曜日のみ営業
定休日:月曜日~水曜日・日曜日・祝日
名古屋市名東区にあった人気のドイツパン専門店の店主はドイツに渡り本場で修行してきたというパン屋のフライベッカーサヤさん。
ハード系のパン好きにはたまらないお店♡
休日のお昼時、お店はにぎわっていました。人気店であることがうかがえます。
ショーケース、カウンターは狭いですが、奥の厨房では次々にパンが焼けているような雰囲気がしていました。
小さな店舗のわりにスタッフもたくさんいる様子です。
テイクアウトの人、テラスで食事を楽しむ人などお客さんがひっきりなしでした。
テラス席はお客さんでいっぱいだったので、2階のロフト席へ。
隠れ家チックで妙に落ち着いて食事ができました。
のどかな山里の風景、藤原岳がよく見える隠れ家的な立地で、のんびり登山の疲れが癒されました。
下山後におすすめの日帰り温泉
藤原岳登山や御池岳登山の下山後にアクセスしやすい日帰り入浴施設です。
住所:三重県いなべ市北勢町阿下喜788
℡:0594-82-1126
営業時間:11:00~21:00(最終受付20:30)
定休日:木曜日、年末年始
料金:(中学生以上)550円※土日祝は+100円/(小学生)350円
住所:三重県いなべ市北勢町垣内36-2
℡:0594-72-2179
営業時間:平日 16:00~22:00(最終受付21:30)
土日祝 13:00~22:00(最終受付21:30)
料金:(大人)800円 (小学生)500円 (幼児)無料
※タオルレンタル・ドリンクなしは上記から200円引き
ポイント
コロナ感染予防の関連で営業時間が時間短縮など変更になっている可能性があるため、事前に確認してから行きましょう