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やまのぼりブログ

【登山に必携】自作ファーストエイドキットの中身と使い方

登山は自然相手のスポーツ。

落石転倒によるケガ・不本意ながら体調不良になることもあります。

そのため様々なアクシデントを想定しておくことが大切です。

 

登山は自分の寝床や食料、生活の一切を背中に背負い山の中へ入っていく行為。

美味しい山メシのメニューを考えたり、

レイヤリングを入念に考え荷物を減らす工夫に一生懸命にはなるけれど、

ファーストエイドキットはザックに入っていますか?

 

この記事では当ブログ管理人tomoが看護師目線で考え準備した

自作のファーストエイドキットをご紹介します。

ファーストエイドキットを準備して、いざという時に備えましょう

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なぜファーストエイドキットは自作がいいの?

本当に必要なものは何かな?

市販のファーストエイドキットは、必要物品がはじめから揃えられているため有用だと思います。

しかし本当に必要な物品は入っていますか?

足りない物はありませんか?

それ、そんなにたくさん使うかな?

山では荷物を必要最小限にとどめることは安全のためにも重要です。

 

過重負担を減らすことで体力の消耗の度合いはかなりかわります。

重い荷物は歩行時にバランスを崩しやすく危険です。

少ない物品で山での衣食住を賄うことは高い登山技術と言えます。

 

また購入時のままのファーストエイドキットを、いざ!という時に開いてみたものの…

これ、どうやって使うん???

なんて事態に陥ってしまっては持っている意味がありませんよね。

ファーストエイドキットの物品はどのように使用するか知っていますか?

ポイント

  1. ファーストエイドキットには何が必要?中身の再確認をする。
  2. 要るもの、要らないものを厳選し中身を準備する。
  3. 使い方を熟知し、いざという時に行動する。

アクシデントが起きた場合どう対処したらよいか考えながらファーストエイドキットを準備してデキル登山者になろう。

キットを作る前に出来ること

step.1 緊急連絡先シート

まずは自分の緊急連絡先を明記した用紙を準備しましょう。
  • 住所
  • 氏名
  • 血液型
  • 既往歴
  • アレルギーの有無
  • 緊急連絡先

などのデータを記した用紙を作成しましょう。

step.2 健康保険証のコピー

eroyka / Pixabay

本人の意識なないまま医療機関に搬送されるという非常時、

ファーストエイドキットや財布の中などわかりやすいところに入れておくとよいでしょう。

このコピーした紙にステップ1の緊急連絡シートを一体にし記入してもいいですね。

step.3 保温ボトル

夏山でも沸かしたての湯を入れ持ち歩く習慣を!

急激な天候変化や高所登山では、夏山でも低体温症になることが多々あります。

飲用として体の中から温めたり、

ナルゲンボトルに湯を入れ湯たんぽがわりにもなります。

ファーストエイドキット

  1. 滅菌ガーゼ、防水フィルム
  2. 三角巾
  3. レスキューシート
  4. ビニール袋
  5. ビニール手袋
  6. スポーツ飲料の粉末
  7. ハサミ・安全ピン・(穴をあけた)ペットボトルの蓋・サージカルテープ・テーピングテープ
  8. 薬品
  9. 予備電池・マルチツール
  10. アルコール綿・絆創膏・カイロ

1 滅菌ガーゼ+防水フィルム

止血や傷口の保護に使用。大小各種あると便利。

靴ずれで皮がめくれて痛い箇所へ、ガーゼを重ねてあてればクッション代わりにも。

この時、乾燥したガーゼを直接傷口に貼ると、空気に触れることで痛みも感じやすく、

またガーゼを剥がす際にせっかく新しくできた皮膚をまたはがしてしまうおそれもあります。

あれば便利

傷口の保湿保護や乾燥部の保湿にワセリンを。

2.三角巾

できれば1枚は未開封のものを準備しましょう。

止血や傷口の保護など多目的に使用可。

また骨折の際の福木の固定の帯にもなります。

3.レスキューシート

冷気を遮断し風を防ぐため保温力がある。

傷病者の保温、ビバーク時のシュラフかわりに。

4.ビニール袋

ビニール手袋の代用品にも。

他、ゴミ袋や防水のためなど、応用が利くのであると便利。

水入れ、防水、傷口の洗浄(底の角を小さく切り使用)、患部を冷やす氷嚢など…。

未使用を1~2枚は持っていたい。

5.ビニール手袋

止血や、汚染した創の処置時、自分を感染から守るために使用。

(傷病者がHIVやC型肝炎などの感染症がある場合もあるので)

6.スポーツ飲料(もしくは経口補水液OS1)の粉末

熱中症、脱水が疑われる時の水分・塩分補給に。

飲用水・応急処置の浄水用として使えるよう必ず1本(500ml)は余分にペットボトルの水を持っておきましょう。

7-1. ハサミ

衣服を切り傷の全体像を確認する際。

三角巾を使用し包帯を作る時に使用。

写真の私の物は赤ちゃん用の爪切りですが、布も良く切れる優れもの。小さくコンパクト、軽い!!

7-2.安全ピン

三角巾で腕を吊った時の固定など。

7-3.(穴をあけた)ペットボトルの蓋

非常用として持参のペットボトル(水)に合う、フタ(穴あけ済み)を準備。

キリを使うと簡単に穴をあけられます。

汚染した創部を洗うには、しっかり圧をかけたいので開ける穴は1つでOK。

7-4.サージカルテープ

ガーゼ保護や包帯替わりの三角巾を留めるのに使用。

7-5.テーピングテープ

関節の固定、傷の閉鎖用などに。

腫れが著しい捻挫のテーピングは不可で、骨折と同様に足の関節を固定します。

参考引用:図解 山の救急法 著者:金田正樹、伊藤岳

 

8.薬

消炎鎮痛剤(痛み止め)、胃腸薬、総合感冒薬、下痢止め、抗ヒスタミン薬(アレルギーに効く薬)消毒薬、虫よけなど。

自分が使い慣れたものを持ちましょう

注意したいのは仲間の誰かが自分の持っている薬をあげるという行為です。私たち、看護師は登山帯同時においてツアーのお客様への薬を渡すことはできません。それは市販薬についても同様です。薬には副作用やアレルギーが起こる可能性があり、とくに鎮痛薬は使用頻度が高いのに、個々によってアレルギー反応を起こす可能性が高い薬のひとつです。 参考引用:PEAKSみんなの山道具より 国際山岳看護師 中村富士美さん

9-1.予備電池

ヘッドランプなどの予備電池用に。

山中でケガなどのため、やむを得ずビバークしなければいけない💦

そんな時に灯りがあるのとないのとでは安全面としても、安心感も全く違います。

9-2.マルチツール

無ければ小型のハサミ1本だけでも入れておきたい。

10-1.アルコール綿

あれば

手指、皮膚の消毒に。個包装で使い切りのため軽量、コンパクト。

ポイント

泥や砂、土のついた傷口(汚染創と呼びます)には、まずは流水で洗い流すことが最優先です!!

感染予防に消毒は有効ですが、消毒がなくても、まずは汚れをしっかり落とすこと!!

創膏

大中小と数種類あると便利。小さな傷にはこれで十分。

あれば便利

湿潤療法の絆創膏です。

水でしっかり汚れを洗い流した後の幹部に貼ります。

消毒はしません。

一般的な絆創膏より高価ですが、治りが早く傷も残らないといわれています。

創傷処置については下記の項で解説します。

10-3.カイロ

傷病者の保温に。

凍傷のおそれがあるときに

手足に凍傷のおそれがあるとき、

下山時に手首や足の甲の動脈(脈がふれるところ)の血液を温める感覚で加温します。

カイロは直に皮膚にあてると低温熱傷のおそれがあるため、ハンカチなどでくるみます。

エマージェンシーキット

プラティパス

お湯を入れ湯たんぽがわりとしても。

ツェルト

ビバーク時、ポンチョとしても使用できます。

タオル

汗拭きタオルとは別に、きれいなタオルを1枚。

濡らして熱中症対策や圧迫止血の時に利用。

様々な用途で利用できます。

ポイズンリムーバー

毒を吸い出すのに使用。

生理用品

環境の変化などで生理周期が不規則になることもあります。

生理前でなくても準備しておくと安心です。

創傷(擦り傷、切り傷、刺し傷など)の処置の仕方

皮膚を損傷すると、菌が入りやすく化膿しやすくなります。

菌による感染は、受傷後2~8時間の間とされています。

傷のファーストエイドの基本はいかに止血するか、いかに感染を抑えるかと言われています。

準備するもの

  • ビニール手袋(自分を感染から守るため)
  • 穴あきのペットボトルの蓋とペットボトルの飲用水(スポーツドリンクは浸透圧が違うため不可)
  • ガーゼ(洗浄後の拭き取り用)
  • (あれば消毒薬)
  • 絆創膏やガーゼ、防水フィルム、テープなどの傷を覆うための物品

step.1 傷の確認

泥や砂などがついていない小さな傷場合

  1. (あれば)消毒・止血
  2. 絆創膏やガーゼなどで覆う

泥や砂などがついている汚染された傷(汚染創)

  1. 傷全体が観察できるようにけが人の衣類を切る。
  2. 傷の大きさ、深さ、出血している部位とその周囲の汚染状況を観察する。

step.2 傷を洗う

傷口、またその周囲を飲料水で徹底的に洗います

ペットボトルの水で蓋にあけた穴から勢いよく水が出るように、水圧をしっかりかけ流水で洗います。

参考

汚染された傷からの感染で最も危険と言われているのが「破傷風菌感染」です。日本では年間100例以下を報告されており、確率的には低いですが破傷風菌に感染すると死亡率が高くなります。

私も看護師の仕事でしりあった高齢者に、昔、農作業中の受傷で感染により片足を切断した方がいらっしゃいました。病院へ搬送される際はその傷が土や砂で汚染されていたことを伝えましょう。

しっかり傷を洗ったら水分をガーゼなど拭き取ります。

止血、(あれば)消毒をします。

参考

手足に受けた傷の出血は、時間をかけて圧迫止血すればほとんどの場合止まります。動脈血、静脈血どちらであろうと、傷の上に出来るだけ清潔なガーゼやタオルを置き、ビニール手袋をした手で最低10分ぐらいは圧迫します。

step.3 傷を覆う

傷の大きさに合わせ、ガーゼや防水フィルムで傷を覆い保護する。

この記事では汚染していない小さな傷では湿潤療法(傷パワーパッドなどの湿潤療法の商品の活用)で良いと考えますが、汚染された創の場合、感染のおそれがあるため消毒薬があるのであれば消毒することを基本として考えます。

汚染した傷の処置の基本

  1. 十分な傷の洗浄
  2. 止血
  3. 消毒
  4. 創の閉鎖

まとめ

不慮の事故や病気に対し、山では完璧なファーストエイドはできないことが当たり前です。

救助活動やファーストエイド(応急処置)には、する側にとっても肉体的にも、精神的にも大きなストレスが伴います。

完璧はできないけれど、最大限の努力を惜しまない

この姿勢が大切だと思います。

 

様々な危険要素がある登山は、自己責任のスポーツです。

登山技術とは歩行技術だけではありません。

登山の計画、道具の選択や扱い、衣食住の生活技術、危機管理など…。

山でのトラブルに対応できる技術と装備をしっかり準備しましょう。

可能な限り自己解決することができる自立した登山者を私も目指したいと思います

 

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