山岳会でお世話になった大先輩から鶴の一声で決まったこの山行計画。
この日のために3年間トレーニングを積んできたという大先輩。
年齢的にも「これが最後」
再び思い出の裏劔から北方稜線を通り剱岳を登りたい、という熱い思いがあるようで…
これはお供するしかない!?
昨年、同じルートをBさんとご一緒した時は「池の谷ガリー」の通過が嫌で二度と行かない!
なんて思っていたのに、まさかこんなにも早く再訪するなんて。
今年は早い段階から雪渓が各地で崩壊。
雪渓が溶け、小窓氷河があらわとなっており通行できるのか??
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剱岳・北方稜線の概要
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初日の天気はくもり 暑すぎず寒すぎず快適
剱岳を北方稜線から登るルートです。
最高年齢73歳の大先輩と、60代男性2人、40代女性1人という年齢層高め!?なメンバー構成。
今回は無理をせず3泊4日。
しかも小屋泊!
体力ともにかなりゆったりと余裕を持たせた計画です。
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北方稜線とは
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この写真で見えている剱岳を裏側へ歩いてぐるっと回り込み登る
剱岳には一般登山道として南からのびる別山尾根ルート、西からの早月尾根ルートがある。
それ以外は東や北からいくつもあるバリエーションルートが挙げられる。
剱岳の北方稜線は登山道として公式に整備されていないため道標はない。岩場にクサリはほとんどないし、不安定な岩場は落石が多い。
その上、ルートは不明瞭で道迷いも多い。
岩と雪の殿堂「剱岳」の山頂から岩稜を連ねて伸びる北方稜線。
脆く危うい岩場の処理や草付きでのルートファインディングなど、総合的に高い能力を求められるバリエーションルートです。
参考引用:ヤマレコ
ヤマレコのおすすめルートで紹介されている北方稜線の計画では、室堂から別山尾根で剱岳を登頂し、北方稜線を小窓、池の平小屋を経て黒部ダム駅へ抜けるルートです。
私が行ったルートは池の平小屋から北方稜線を経て剱岳に登頂するルートのため、剱岳山頂を起点に考えると北方稜線を登るのか下るのかの大きな違いがあります。
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山行計画
日程:3泊4日(剣山荘⇒池の平小屋⇒剣山荘)
メンバー:Tさん、Hさん、Bさん、tomoの計4人
天候:1日目 くもり
2日目 くもり⇒雨
3日目 快晴
4日目 晴れ
アクセス:自家用車(4人乗り合い)
立山ケーブルカー(立山駅~美女平)約7分
立山高原バス(美女平~室堂)約50分
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装備:通常の登山装備・ヘルメット・ハーネス・アイゼン(10本爪)・スリング(60×2,120×2)・カラビナ4(安環付2)・捨て縄・行動食・非常食
共同装備(ツエルト2、30mロープ)
昨年の経験からロープを使うことはないだろうと考えていましたが、今年は小窓氷河の状況が日々変化しているため念のために30mロープを持参。
参考
今回、私は捨て縄の替わりに240㎝のスリングを持っていきました。これがけっこう役に立つんですよね。最近のアルパイン山行では必ず1本は持っていくようにしています。
- 食事は基本的には小屋の食事を頂きました。
- 最終日以外は朝早めの出発のため朝食をお弁当に変更。
山行記録
昨年に比べ、北方稜線のルート上のピンクテープが増えている印象がありました。
池の平小屋のご主人が、かなり詳細なYouTube動画をアップされています。
また池の平小屋に宿泊の際は、北方稜線の注意箇所など詳細に説明してくださり大変ありがたかったです。
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1日目 室堂~剱山荘
1日目のルート
室堂⇒みくりが池⇒雷鳥沢キャンプ場⇒劔御前小屋⇒剣沢キャンプ場⇒剱山荘
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1年ぶりの立山
平日スタートのこの山行。
夏の花はすでに終わり、紅葉にはちょっと早い?
シルバーウィーク前の中途半端な感じのこの季節。
顔を合わせるのはお久しぶりな山岳会の先輩方と名古屋で合流。
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雄大な景色にテンションがあがります
計画通り、全員集合。
「平日の朝から満員電車で大きな荷物もありさぞ大変だったでしょう?」
「いやいや、朝早かったからそれほどでもないよ」
なんて話をしながらバスにてゆらゆら。
途中、車窓から雲がかかった劔岳を見て「ああ、また今年も来られて良かったな」なんて感じつつ、
これから始まる山行に「楽しむしかない!!」
と、気持ちが自然と切り替わる自分に少し安堵しました。
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立山三山縦走を計画に追加するなら初日の本日だったのでは?
そう、自分のブログだからこそホンネを書きますが
実はこの山行、直前まで参加するか否かかなり迷っていました。
昨年、十分な程に楽しんだ北方稜線からの剱岳。
ハッキリ言って楽しい!最高!な、山行だった思い出。
これ以上ないってぐらいに、満喫できた山行だっただけに…。
まさか、同じルートを全宿泊小屋泊でお金と時間をかけて行くなんて???
いやいやいや、この時期もっと他の山行に同じ資金を投入するなら、テント泊でアルパイン山行2~3回は行けたんじゃない??
ついつい、そんな事を考えてしまいます。
しかも。
今年は例年になく雪解けが早い。
八峰や源次郎尾根など、他ルートからの剱岳登攀のための雪渓が崩壊のため今期は計画を変更につぐ変更で、行きたかった山行にも行けていません。
そして
今年は小窓雪渓が雪が解け、氷河が出ている。
その日その日で雪渓、氷河の状況は刻一刻と変化しており、小窓氷河の通過もかなりの注意を要するとか。
最悪の場合、池の平山から巻いて行かないといけないかもしれない。
そんな事前情報があるだけに、何もこんな大変そうな年に無理していかなくてもいいのでは???
なんて、つい口に出してしまいそうになっている自分を抑えつつ直前まで近況にアンテナをはっていました。
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昔はあの煙が出ているところまで行ってみたのを覚えています
結局は、
- 自分自身が今年はまだ1度も剱岳に来られていない
- 氷河を歩くなんて機会は今後あるのかないのかわからない
- 自分からは全泊が小屋泊なんて豪華な山行は行くことが、まずない
- まだまだ先輩から学ぶ事が多いだろう
- お世話になった先輩、少しでもお手伝いできるなら
- あの裏劔の景色をもう一度見たい!
上記の気持ちが勝って山行に参加することに。
最高齢の73歳の大先輩。
お供させていただく…なんて言ってはみたものの
少しぐらいは心配する気持ちがありました。
でも、この日のために歩きのトレーニングを積み重ねてこられた事もウワサには聞いていましたし、正直に言うと
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雷鳥沢キャンプ場を見下ろす
暑くもなく寒くもない快適温度。
本日メインとなら雷鳥沢から剣御前への登りも快調です。
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先頭を進むCL、大先輩のペース配分が最高に良かった
先頭を進む大先輩のTさん。
歩くペースがかなり良かったです。
息が上がらず、汗をかかず、ゆっくりだけど淡々と進みます。
しんどくならならいから、長く歩き続けることができます。
途中、前後したPTがペースが速い分、すぐに休憩をしているのを横目に私たちはゆっくりペースですが息も上がらず確実に進みます。
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劔岳、お久しぶりです
劔御前小屋の前でいったん休憩します。
時間的にもかなり余裕。
明日の行程は剱山荘から池の平小屋まで。
真砂沢ロッジまでの雪渓ルートはほぼ夏道で行くと事前の情報で心得ています。
時間的にもかなり余裕があることから、Bさんと私は剣沢キャンプ場経由で剱山荘へ行くことを提案。
剣沢の野営管理所には富山県警の山岳救助隊が常駐しており、最新の情報を得ることができます。
念のためこちらに寄り話をうかがい情報収集をしてから小屋へ向かうことに。
先輩2人には剣御前から直接、剱山荘へ向かってもらうことにし二手にわかれることにしました。
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2023年9月22日の情報
上記写真のように、管理所の建物にはホワイトボードで最新の情報を載せてくれています。
一応、救助隊の方からもお話を伺いましたが事前情報の通りで変わりなく、夏道から谷をくだって行き、最終的には真砂沢ロッジのひいいている黒いホース沿いに雪渓を渡ることで問題なさそうです。
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色づいたナナカマドの赤い実と剱岳
劔岳と言えば!!
この剣沢のテン場から見た剱岳。
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はじめて泊まる剣山荘
少し早めに到着しましたが、少しだけ待ち、劔御前で別れた先輩2人と合流。
なんせ、はじめての剣山荘。
5時まではシャワーが使えるらしい!
ということで…
チェックインして早々にそれぞれシャワーへ。
初日で特に汗もかいてないけれど、恩恵にはあずかろうとシャワーでサッパリさせていただきました。
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なんと!生ビール!!
なんと、剣山荘では生ビールが買えるんです!
初日から生ビールで乾杯です♡
2日目 剱山荘~池の平小屋
2日目のルート
剱山荘⇒劒沢小屋⇒平蔵谷出合⇒長次郎谷出合⇒真砂沢ロッジ⇒仙人峠⇒池の平小屋
※計画では仙人峠から仙人池ヒュッテへ寄り道するつもりでしたが、当日は雨天のため寄り道せずに池の平小屋へ。
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2日目の朝
2日目の朝。
朝食をお弁当に変更していた私たち。
他の泊り客もほとんどの方が、お弁当に変更され早めの食事を済まされている。
小屋では早朝にもかかわらず食堂でも灯りがともされており大変ありがたい。
大半の方が別山尾根から剱岳を目指すためお弁当の朝食を済ませ準備を整えている。
なんと、まさかの雨。
レインウェアを着て出発していく登山者も多い。
中には簡易なカッパを着て出発したものの撤退して小屋へ戻ってくるグループもいるようだ。
私たちグループは計画通り出発できるよう準備は万端。
出発の予定時刻は6時。
天気が気になりソワソワしてしまう。
何度スマホを開き詳細な天気予報をみようとチャレンジするもインターネットにつながらない。
気持ちを抑え、とにかく待つことに。
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雨上がりのガスをまとった尾根も美しい
予定どおり出発しよう!と、リーダーのTさん。
私たちはサッと支度を整え小屋の外へ。
あれほど降っていた雨も上がり、明るい陽が差している!
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こんな神々しい光はほんの一瞬だった
まずは劒沢小屋へ。
剱山荘から直接、剣沢へ下りていく巻き道もあるようだがルート不明瞭。
(というか、最初から探していないのですが)
こんなところで時間ロスしても仕方ないのでわかりやすい道を選択。
剣沢小屋すぐわきの分岐から剣沢へと降りる。
降りる、と言っても今年は雪渓の雪が溶けているためずっと夏道だ。
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岩に黄色のペンキで「ケンザンへ」とある
劒沢をくだりはじめ間もなくして剱山荘への破線ルート(巻き道)を横目に通過する。
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劒沢は雪渓ではなく、名の通り沢になっていた
通過してすぐに剣沢を対向して登ってくる男性5~6人?グループと遭遇。
なんだか見覚えあるような?
昨日、剣沢キャンプ場を通過した際にテント場で作戦会議と言って集まっていたグループではないか。
まさかこんな日のこんな時間に剣沢を登ってくるとはどういうこと?
聞くところによると、今日は源次郎尾根を登る予定できたが雪渓を渡ることが困難なため撤退したのだとか。
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正直、事前に雪渓がズタズタで今季はもう無理だろう、と情報がたくさんあがっているのに無謀にもチャレンジしようとしていたなんて。
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写真中央の岩は普段なら雪渓の上にあるのだが…
平蔵谷出合に到着。
写真を見るとおわかりのとおり、本当に雪渓がズタズタ。
つながっておらず、雪渓が崩壊しているのがわかる。
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少し近づいた写真
明らかに雪渓がスカスカでぽっかり中の空洞が黒い口を開けている。
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雪渓に開いた大穴
雪渓に開いた大きな穴。
あの下に落っこちても怖いし、雪渓が崩れて落ちてきても人間なんてひとたまりもない。
恐ろしい場所だ。
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ガスガス 足もとも濡れており滑りやすい
この辺りで先行者女性2人組に追いつく。
歩き方や装備の感じからしてアルパインではなさそう。
たずねると今日は仙人池ヒュッテに泊まり、翌日は阿曾原の方へ抜けるそうだ。
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先行者女性2人は少し苦戦している様子
そういえば。
リーダーのTさん(最年長)にとっては池の平小屋までのこのルートは慣れた様子。
ここまで特に何の問題もなく進んでこられています。
先行者に少しアドバイスしてる??
余裕さえ見受けられます。
それもそのはず、池の平小屋のモンロー会員として小屋開けの手伝いをされていたこともあるそう。
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鉄杭とロープあり
この箇所は時期によっては氷結しているとやっかいそうだ。
ガスで視界が悪いが、鉄杭とロープで難なく進む。
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黒いホースが現れた
黒いホースは真砂沢ロッジが水をひいているものだろう。
このロープが現れ始めると、雪渓を対岸へ渡る箇所も近い。
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黒のホース沿いに雪渓を渡る
雪渓が崩壊したりしないよう願いつつ、対岸へと雪渓を渡ります。
雪渓の上は凸凹しており、また平行に対岸へとトラバースするため比較的歩きやすいです。
皆、特に問題ないためアイゼンは未装着です。
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雪渓を渡り切り振り返り見たところ
雪渓の上に土砂が堆積しています。
雪渓から離れ、土の上に乗ってはじめてホッとしました。
夏の終わりを感じさせるように、咲き残ったお花が色を添えてくれています。
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雪渓の末端かな
まるで氷の神殿の柱のような雪渓の脚。
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雪渓が終わり、いくつもの滝が連なっている
雪渓が終わり、徐々に真砂沢ロッジが近づいてきているのを感じる。
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岩とボロボロの雪渓の世界からホッと一息
真砂沢ロッジに到着。
大休憩で少し行動食を食べます。
ここでも小屋の方から情報収集。
この先のヘツリについては、川の水が普段より増水しているものの問題なく通過できそう。
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この橋は私たちは通らない
平和な沢沿い歩きを終え、懸念していたヘツリに到着。
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水の量が少し多いかな?
ヘツリも難なく通過。
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ついに鉄の吊り橋までやってきた
分岐の吊り橋までやってきました。
ここからはひたすら登りになります。
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仙人新道の入り口
ここから仙人峠までは、とにかく急登を頑張るのみです!
この辺りから降ったりやんだりしていた霧雨も、徐々に小雨に変わってきました。
しかし、登りで汗をかくこと、樹林帯で尾根に出るまでは少しは雨もしのげることからレインウェアは着ずに登ることに。
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ヘビがとぐろを巻いていた
本来ならベンチのある場所から剱岳を見られるのですが…。
あいにくガスで山が隠れています。
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心の目で剱岳を見る!?
急登にみんなヨロヨロ疲れも出始めてきました。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/3BD91E61-3A6A-45F8-9697-4C18BB62126E-L0-001.jpg)
あれは!?雪渓だ
ガスの合間に雪渓が見えた!!
あれは三の窓雪渓の末端かな??
本来なら絶景が見られるのですが今回はこれが最大限の景観でした。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/0B03FF7E-8C9F-4D1C-831F-CD05B64E2C40-L0-001.jpg)
仙人峠の看板
色鮮やかな立派な看板。
ここが仙人峠です。
天気がよければ仙人池ヒュッテまで降り、仙人池から裏劔の景観を楽しみたかったのですが
あいにく雨は止む気配もありません。
これはもう、寄り道するよりもまっすぐ池の平小屋へ向かおうと全員一致で決まりました。
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池の平小屋に到着
仙人池ヒュッテの寄り道をパスしたため、計画通りに池の平小屋に到着です。
時間はまだ12時台。
小屋のチェックインは確か1時から。
きっと私たちグループが一番のりだろうと思いきや!?
すでに小屋の中には宿泊客の半数以上が到着しくつろいでいました。
そして雨は本降りに。
しかし、続々と本日の泊り客が到着してきました。
テント泊装備の方がほとんど。
こんな天気の日にこれほどのお客さんがやってくるなんて!
池の平小屋では到着順に温かいお風呂に入ることができます
しっかり身体もぬくもり本番の明日のため疲労を回復することができました。
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池の平小屋の夕飯
夕飯後は、池の平小屋のご主人から北方稜線の注意箇所などアドバイスをいただきました。
パソコンで最新の小窓氷河の状況を写真を見ながら説明してくださいました。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2018/06/最強笑顔.png)
懸念していた小窓氷河の状況は、なんとか池の平山から巻いて通過しなくても、氷河の上を歩けそうです。
氷河は日々、変化しているため細心の注意を払いつつ、明日の本番は小窓氷河から小窓へと当初の予定通りに進みます
3日目 池の平小屋~剱岳~剣山荘
3日目のルート
池の平小屋⇒小窓氷河⇒小窓⇒小窓ノ王⇒三ノ窓⇒池の谷ガリー⇒チンネ⇒池の谷乗越⇒長次郎の頭⇒長次郎のコル⇒劔岳⇒前劒⇒一服劒⇒剱山荘(泊)
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/D263A690-34FF-4214-927D-4A5549414582-L0-001.jpg)
夜明け前
池の平小屋で軽く早めの朝食を済ませます。
夜明け前の4時半出発。
今日が本番、当日!
小屋のご主人にお礼の挨拶をし、あたたかく送り出していただきました。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/7CB2868B-CE33-4504-B18E-0C35B69C750A-L0-001.jpg)
快晴!暗闇に浮かぶ剱岳
昨日の雨がウソのように晴れています。
全行程のうち、核心の本日が一番お天気が良い!
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2018/06/最強笑顔.png)
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/45D9A674-A869-42CE-8334-576F9F29BF64-L0-001.jpg)
剱岳から小窓氷河までの大スケール
大迫力のこの景観に圧倒されます。
今年は大滝下の小窓雪渓の下部にクラックがはしり、雪渓がズタズタになっているのがはっきりわかります。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/49E8F5CF-9D37-40F1-BC60-D39F83654783-L0-001.jpg)
旧鉱山道をたどる
まだ池の平小屋を出て序盤です。
小窓雪渓へおりるため旧鉱山道をたどります。
このルートは草で足元が見えにくい箇所も多く、切れ落ちた細い足元にも注意が必要。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/EAE961AF-1546-49EB-BFA8-F7604C02D5CB-L0-001.jpeg)
全然、雪がない!これから小窓氷河に降り立ちます
足元のピンクテープ。
昨年にはなかったものです。
今期、池の平小屋のご主人が新しく目印につけてくださったものです。
雪渓に降り立つには不安定なガラ場を下るのですが、
その中でもなるべく歩きやすい箇所を選んで新たに設置してくださったそうです。
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氷河の上を歩く
昨年、歩いた時はもっときれいな雪の上を歩いた記憶があるのですが…。
今年は氷河という名前のイメージとは違い、堆積した土砂で表面は土、石、枝などがいっぱいです。
小窓氷河では全員10本爪アイゼンを装着。しっかり爪が効いてくれました。
ピッケルは今回は不携帯。トレッキングポールの石つきをカバーを外した状態で使用することで、十分歩けました。
天候、気温、氷河や雪渓の状態によってはピッケルがあると安心かもしれません。
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大きなクラックがいくつもはしっている
クラックを避け慎重に進みます。
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小さな縦穴はムーランという
雪渓と違い、氷河のため、溶けた水分が染みてシャーベット状になるのではなく、氷の上を小川のように水が流れていました。
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朝陽を浴びながら小窓氷河を登る
昨年と同じ時間帯で通過できると予想していた通り。
丁度、朝陽を浴びながら小窓氷河を歩くことが出来ました。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/22D415EE-582C-4BE6-A639-69962B5DCD8A-L0-001.jpg)
氷河の上に堆積した土砂をのっこす場面も
昨日の予習のおかげでスムーズに小窓氷河を進むことができました。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/DAAB10A1-5B66-4E87-AB21-295899C8152C-L0-001.jpg)
やっと氷河を離れ、地上へ移れた
普段、小窓雪渓と言われる雪がしっかり残っている状態では小窓までとにかく雪渓の上端をめざすのですが
今回はより安全と思われる場所で氷河から地上のガレを移ります。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/600DEE7E-046A-4AFE-9BDB-2476BD128398-L0-001.jpg)
こんなのを横目に見ながら
このような場所の上を歩くと思うとぞっとします。
ガレに移ってからは、小窓まで左岸を詰めました。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/6B02DD5D-3648-4788-91E9-D04F80210357-L0-001.jpg)
小窓氷河の上端
アイゼンを外し、ガレから離れた小窓の草付きとの境界あたりでいったん休憩。
少しほっと一息ついたところで、草付きを尾根まで乗り上げます。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/6B40742C-1B7D-49B3-99AA-CC91AA15BA42-L0-001.jpg)
大きな足跡!?
池の平山から氷河を巻いてきたら、いったいどのくらいの時間がかかったのだろう。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/4212CC03-8A77-4AA9-814C-A81609BB691A-L0-001.jpg)
池の平山
ここからは池の平山を背に、小窓谷側を巻きながら高度を上げていきます。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/F2313C91-D165-4219-AF1F-0271C6115153-L0-001.jpg)
小窓ノ王が見えた!
小窓ノ王は、ど~んと、絶壁がたちはだかっているかのようです。
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今年も雪渓が溶け岩がむき出し状態
上記写真。
距離は短い雪渓の箇所ですが、昨年同様に今年も雪がない。
雪がないからとは言え、気は抜けないです。
慎重に通過します。
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だいぶ登ってきたけれど、まだ先は長い
振り返れば池の平山がずっと下の位置に。
小窓氷河も少し見えています。
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発射台からみたところ。左の丸っこい岩がチンネ、そのすぐ右に池ノ谷ガリー
稜線上に出ると、小窓の王の基部に到着。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2018/06/デフォルト.png)
まずは池ノ谷(いけのたん)側の急なバンドをくだります。
今年、この上部の岩が剥がれ落ち死亡事故が起きた場所でもあります
生きた心地がしない場所。
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一歩一歩を慎重に
スピーディーかつ慎重にくだります。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2018/06/焦る.png)
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発射台からくだってきたバンドを振り返りみる
くだりきったところが池の谷左俣の上部。
ガラ場を登ると三ノ窓に出ます。
三ノ窓で小休止。
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三ノ窓からの景色
さて、ここからが池ノ谷ガリーを詰め池ノ谷乗越を目指します。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/2857C9C1-E6FF-406B-993E-962BF28C8EB1-L0-001.jpg)
池ノ谷ガリーから見上げる。今年はチンネにクライマーはいなかった
昨年は池ノ谷ガリーは途中の大岩までは右岸を詰めていきましたが、今年は池の平小屋のご主人のアドバイスどおり左岸を詰めました。
アドバイスどおり、昨年よりも歩きやすかった印象です。
不安定な石が堆積しているので落石に注意しながら進みました。
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フェイスの方がガバ多く登りやすい
池ノ谷乗越に到着すると、この日の核心部を終えた気分でかなり気持ちが楽になりました。
さて、上記写真の急な岩場を高度感を感じながら登り稜線に出ます。
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池ノ谷乗越から登ってきたところ
ここでは昨年の楽しい出来事が思い出されます。
池ノ谷ガリーを登っている最中に、上部の岩場から楽しそうな女性グループの声が聞こえてきました。
まさか?A子さん?女性グループ?
池ノ谷ガリーを登り詰め池ノ谷乗越から稜線まで登ってきたところで(まさに上記写真の景観、方角です)大きな声で呼びかけてみると、予感的中。
顔は見えないけれど、こんな場所で会話するなんて!!
いっきに疲れも吹き飛び楽しくなりました。
今年は残念ながら偶然に岩場で知人に出会うことはありませんでした。
山頂から北方稜線を下ってくる人とのすれ違いも多くルート上の登山者数が多かった印象です。
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やっと山頂が見えた
ここからは踏み跡にしたがって岩峰の長次郎谷(ちょうじろうたん)側を巻いて行きます。
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長次郎谷上部の高度感あるトラバース
昨年はこの箇所を間違い、写真右上へあがってしまい戻る場面もあったが今年は慎重に進み時間ロスせず行けた。
長次郎のコルに出ると、そこからは岩稜をたどりついに剱岳頂上へ!
文章にすると短くあっというまのようですが、もう少しで山頂だ!
と、思ってからもしっかり歩き登りがありますよ。
ついに剱岳登頂
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全員で剱岳に登頂
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2018/06/最強笑顔.png)
まさか今年も北方稜線に行くとは思ってもいませんでしたが、何度来てもやはり剱岳はイイ!
同じルートでも、訪れる時期が同じでも、やはり毎回、山は新たな発見がありおもしろいです。
今年は氷河を歩くという貴重な体験もできました。
そして何より、大先輩と一緒に歩くことで今後の自分の山人生においての励みにもなりました。
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剣沢、別山の風景
剱岳山頂から別山尾根で約3時間。
剣山荘まで下山します。
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この別山尾根も気が抜けない岩場が続きますし、疲れも出てくる頃なので気を抜かないで降ります。
剣山荘こぼれ話
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部屋の名の通り別山の展望が抜群!
3泊目は再び剣山荘に泊まりました。
1泊目はちんぐるまというお部屋で、階段横の小さな2段ベッド式の部屋でした。
私たち1グループで部屋を使わせてもらいました。
階段横のお部屋であり、廊下を人の往来が激しいため物音もするのでそれほど良い場所ではなかったように感じます。
そして3泊目(剣山荘は今回の山行中2泊目)は別山というお部屋でした。
スタッフ女性
今日は一番いいお部屋ですよ
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部屋から別山のアーベントロート
別山のお部屋は、一番広い部屋、食堂の上に位置します。
部屋には窓が2か所ついており、部屋の名前の通り別山の眺めが最高に良いです。
上記写真のように室内から別山のアーベントロートを観ることができました。
そして、廊下の物音も響かず静かな環境。
和室で広いお部屋を私たち1グループだけで貸し切りだなんてぜいたくな使用感でした。
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1つだけ残念だったこと…
それは
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この日は剱岳登頂のお祝いに皆で生ビールで乾杯したかった!!
しかし、土日は登山者、宿泊客も多いため小屋の生ビールが売り切れてしまったとのこと。
生ビールはなかったけれど、缶ビールで乾杯♡
みんな疲れがドッと出たのか、この日は夜7時台には全員が寝入っていました。
4日目 剣山荘~室堂
剣山荘⇒劔御前小屋⇒雷鳥沢⇒みくりが池⇒室堂
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剣山荘前からみる朝焼け
最終日の朝。
ゆったり朝食を食堂で頂きました。
今日は下山のみなので気持ちもラクです。
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この景色ともお別れ
9月下旬ともなると朝夕の冷え込みがかなりあります。
地面には霜が降りていました。
水たまりの水が氷結しています。
お世話になった剣山荘さんと剱岳を振り返り見ました。
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2018/06/最強笑顔.png)
![](https://kansai-yamanobori.com/wp-content/uploads/2022/08/36E4F90D-85F1-41D4-B3CD-1A1AA23E31E2-L0-001.jpg)
室堂方面の眺望
初日に比べ、心なしか紅葉が進みだしたような?
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ナナカマドの紅葉
大急ぎで室堂へ帰るのではなく、この山行を味わうようにゆったり下山しました。
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雷鳥沢のテント場 月曜日の割に多いです
紅葉の最盛期にはまだ少し早いですが、暑すぎず寒すぎず爽やかな秋の風が吹いています。
みくりが池温泉では、皆でソフトクリームを食べました(←私ははじめて!)
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みくりが池に写る雄山
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おまけ 富山グルメ
下山後のお楽しみ
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富山の寿司♡
剱岳登山で何が楽しみって、コレ!
下山後は温泉でさっぱりしたら食事へ。
富山湾の海の幸を存分に、お寿司をいただきました。
白エビにホタルイカ、のどぐろなど…
回るお寿司やさんなのに、リーズナブルに美味しいネタをいただけるので本当に大好き。
これは剱岳登山には絶対に外せないお楽しみの一つです。
まとめ
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まだ行った事のない劒尾根 いつか訪れることがあるのか?
何度訪れても、毎回、違う景色を楽しめる剱岳。
厳しい気候、3000m峰という標高、
決して安易な気持ちでは立ち入れないバリエーションルート。
- 情報収集力
- ルートファインディング
- 長時間行動、持久力
- クライミング技術
これら総合的な能力が試されます。
大先輩の力強い背中を見せていただいた今回の山行。
私自身もコツコツとトレーニングを怠らず、自分の能力を過信することなくチャレンジしていきたいと思います
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