広告 アイスクライミング 小秀山 山行記録 岐阜県の山

【アイスクライミング】小秀山 乙女渓谷 夫婦滝(雄滝)山行記録2022年 

この記事は岐阜県中津川市にある小秀山の夫婦滝(雄滝)をアイスクライミングで登攀した山行記録です。

偶然にも一般のアマチュアカメラマンの方が、その過程を写真に収めてくれていたため、

美しい氷瀑の写真をふんだんに使ったブログ記事になりました。

氷瀑になりたての美しい氷の造形美も見どころです

小秀山、夫婦滝(雄滝)アイスクライミング

 

岐阜県中津川市加子母にある小秀山乙女渓谷、約80メートル級の2本の滝夫婦滝

中津川から下呂方面へ車で1時間。

東海・近畿圏のアイスクライミングができる氷瀑としては比較的アプローチが近く、駐車地から滝までも遊歩道が整備されあるきやすいこと、スケール感のある大きな氷瀑なため人気があります。

この滝を知ったのはインスタグラムの投稿。それはドローンで撮影された氷瀑を登攀中のアイスクライミングの写真。私もいつか、この滝に登ってみたい!と印象に残った1枚でした。

アプローチ

アプローチ

乙女渓谷キャンプ場から夫婦滝下まで約2㎞ 約1時間半

写真のような立派な遊歩道の終点まで歩くよ

遊歩道は途中、屏風岩や乙女淵、ねじれ滝など景観もよく楽しめますよ

参考

適期 1月中旬~2月中旬

装備 スクリュー10本程度

雄滝・雌滝ともに2ピッチで登攀(各3時間程度)

夫婦滝から下降(キャンプ場まで)1時間

アプローチの良さや滝のスケールも大きくハイカーにも人気スポットだよ

おすすめ

山行例

1日目 濁河温泉のはもずしエリアでトップロープ練習 

2日目 乙女渓谷 夫婦滝 マルチピッチアイスクライミング

オブザベーション

どのラインなら登れる?

ルートの選択は重要。

今回はザイルパートナーのBさんが2ピッチリード。私がフォローで登ることに。

まずは氷の状態をみるため近くまでラッセルで近づいてみた。

ああ行って、こう行って…相談中

氷瀑の中央は水が流れる音、薄い氷で危険。

登るなら左右どちらかの端を行くしかないだろう。

氷結具合から右より左がよさそうだ。

おおよそのラインを二人で決め、1ピッチ目をどこで切るのかもだいたい決めた。

1P

今までアイスクライミングを練習してきた経験から、今回の夫婦滝(雄滝)はバーティカル(垂壁)というよりはクラゲ(カリフラワーと表現することも多い)をうまく登攀できれば私たちにも登れる!と判断し、挑戦することに。

良い登り出し

雪をかきわけ良い氷がでてきたところで整地した。

まずは1ピッチ目のとりつきとし2本のスクリューでアンカーポイントを構築。

出だしは雪が多いも易しく登りやすい。

この日は暖かく風もない良い環境だった

登り出す前に、滝の下に居合わせたハイカーさんから「1時間ぐらいで登れるんですか~?」

なんて、軽く聞かれたが…。

私達はまだ経験も浅く、今回がこの滝は初見。

今季はまだ誰も登っていないであろう、まっさらな氷瀑を登ることの緊張感が増す。

傾斜のゆるい登り出し

今まで人工氷瀑やアイスゲレンデでたくさんバーティカルの練習をしてきているので、これぐらいの傾斜ならばそれほど怖くはない。

写真ではわかりずらいが傾斜が徐々にでてきた

上記写真、リード者の立っている左横の岩に古めのアンカーポイントあり。

氷が薄かったため氷を少し削ることで利用することができた。

上から見たら…雪で白くてわかりずらいかな

1ピッチ目でも意外に高度感はあるんです。

下の方に自分たちのデポしたザックが点々と見える。

2P

直登!と言いたいところだが、安全に弱点をつきながら進もう

ビレイを交代し2P目スタート。

クラゲ地帯に突入だ。

ビレイポイントからリード者は見えない

2p目はクラゲ地帯から弱点の左側の凹壁へ抜けるまでが今回の登攀の核心。

クラゲをのっこす氷の登攀は二人ともはじめてだった

リードもけっこう難儀しているような。

氷の上の雪がやっかいだ

リードが雪をのけている間…私はその雪をあびながらひたすら待つ…

このクラゲ地帯は変則的な登りを強いられるし、スクリューをうてる位置もないため難しい。

Bさんが頑張ってくれているが私は全く見えないのだ

上部がどんな状態なのか、リード者が何をしているのか、見えないために少し心配しながらのビレイ。

ようやくロープに確かな登っている手応えを感じて

核心を抜けましたね。

くらげ地帯を抜けた

ここで進行方向を変えて

氷の状態が良く、刺さり具体も安定していた

ここは快適、気持ちいいアイスクライミング

クラゲ部分はなるべく避けたい

写真にはないが、2ピッチ目は滝の落ち口手前数メートルのクラゲが立っている箇所に突入する前に左へ逃げ、灌木でピッチをきった。

トモ、2p目スタート

クラゲ地帯の核心部

ここが嫌らしい箇所だった。

クラゲの足の部分はもろいツララ。

蹴れば壊れる。足がかりが自分で壊してなくなってしまう。

結局、クラゲの頭部分の氷がしっかりした部分に高く足を上げるしかなさそうだ。

アックスを決める位置にも悩んだ

ここでクラゲを一つ乗っ越してトラバースしたのが悪かった。

リード者はのっこさずにトラバースしてから上に上がってる。

右手側、滝の中央部に視線を送ると氷瀑からシャワーのように水が噴き出している箇所が見えた。

氷瀑の中央部は明らかにもっと悪い。

このラインで登るしかルートはない!

緊張からパニックになりそうなポイントではあったが、今までの練習経験から冷静さを保ちつつ次の一手を考える。 

こんな時、思い出すのはアイスクライミングの師匠の言葉。

アイスクライミングはクライミングである、ということ。

いつでも正体の三角形を保ちつつ登れるわけではない。

自然の氷瀑が相手、様々な形状の氷と対峙していかなくてはならない。

私はクラゲの上をきわどいバランスでなんとか左へトラバースし切り抜けた。

クラゲの細い足を破壊して左にトラバースしたのがわかる

緊張したが、バランスを保持しつつノーテン(テンションがかかることなく)乗り切ったら、安定した箇所に立ちホッ一息つけた。

良い氷が出てきて安心

後は快適アイスクライミング

45度くらいの傾斜。写真だとわかりやすい

氷の弱点。凹壁で登りやすく楽しめる。

 

トップアウト手前で2ピッチ目を終了。

クラゲ状のバーティカルがほんの数メートルを残すだけでしたが、自分たちの力量では難しいと判断しピッチをきることに。

3P

3ピッチ目は氷から左手の灌木で確保し安定した箇所までラッセルで抜ける。

3ピッチ目の藪こぎ、ラッセルはトモがリード

アイスクライミングから急にアルパイン色が濃くなった。

急傾斜でここもなかなかな地帯。転げ落ちると滝へと真っ逆さま?!

まずは直上し、かなりしっかりした生木にたどり着くまで緊張を強いられた。

20mほど左へトラバース(雪崩注意!と、トポにあり)。

登山道に合流したとわかるピンクテープを認めて一安心する。

しかし、その登山道もきわどいトラバースが続き安心できない。

達成感と安堵と入り混じった高揚感を胸に、最後まで気を抜かずにとりつきまで安全に下降した。

まとめ

 1日目。濁河温泉エリアのはもずし(橋の下のアイスゲレンデ)でトップロープ練習。例年より登れるラインが少ない印象だったが、晴天、暖かい一日で貸し切りの集中できる環境。最初の1本目こそ、前腕を使ってしまったが次からはパンプすることなく15本ほど3つのラインを交互に登りこんだ。

 2日目。以前から氷結したら登ってみたいと心にとめていた小秀山の夫婦滝。ほんの下見のつもりと口では言いながらも内心は「登りたい!」気持ちで現地へ。ここはアイスクライミングの下見に無雪期に何度か訪れている。事前の情報収集と地形的な感覚がわかったため、夫婦滝の氷瀑した状態を見るのははじめてであったが、この綺麗な氷瀑を登ってみたい衝動に二人とも意見が合い「登ってみよう」となる。

 この時、現地にはハイカーが数組いあわせ、アイスクライミングを見るのもはじめてと言う。しかもそのうちの一人が写真を撮らせてほしいと言う。快諾した私たちだが、氷の状態によっては登れるかどうかわからないと事前に説明した。登攀の内容は前出の通り。カメラマンの方だけは根気よく私たちが登攀し終えるまで、下から暖かく見守ってくれていた。今回の記録が出来上がったのもこの方の迫力ある写真のおかげだ。

 熟練者にとり今回の私たちの登攀は、特に珍しいものでもなく取るに足らないことかもしれないが、私たちにとり大きな一歩となる山行だ。

 ザイルパートナーであるBさんとはほぼ同時期にアイスクライミングをはじめた。昨シーズンに、何度かトップロープやフォローで練習してきた南沢大滝をリード&フォローで登ったのが私たちの一番の大きなアイス山行経験だったと言える。しかし今回は二人とも初見。氷瀑としても今季はまだ誰も入って登った形跡がない。まっさらな出来立ての大滝に、誰かの力を借りることなく二人の力で考え登った達成感、充実の記念の1本となった。

 私の目標である、「誰かに連れて行ってもらう」を卒業して、自分の力で登る。そんなクライミング(アイスクライミング)の経験が一つ重ねることができた。安全に登攀できたことは、今まで私たちを導いてくださったアルパインの師、アイスクライミングの師、一緒に練習を積んできた仲間たちのおかげと思う。なによりも一緒に成長し経験を重ねともに歩んでいるBさんに感謝する。

参考

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参考書籍

 

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